
@下北沢 ザ・スズナリ / 4/28 18:00-
公式: http://www.aru-c.com/stage11.html
twitter: https://twitter.com/#!/aru_company
■概要
たまの観劇記録です。今回は上記公演。公式に掲載の紹介曰く
とある温泉旅館。社員旅行でひとつ部屋に泊まっている五人の男女。深夜というのに寝たがらず妙にはしゃぐ中年男、沼田と、困りながらも相手をしている男性社員、田代。寝ていた女姓社員、木崎も起こし、会話はとどまるところを知らずエスカレートしていく。後の二人は離婚したかつての妻と娘だった。元の家族がひとつ部屋に寝る、最後の夜。沼田ははしゃぐ。夜は更けていく。※あれよく見たら字が違うところがひとつ……
劇場配布パンフにある演劇ジャーナリスト徳永京子さんの言曰く
家族と元家族と他人が小さな空間にいる緊張感と違和感とその回避を、いつものように間ではなく、明るいテンションで回避する。確かに約80分のあいだ終始こんな感じでした。
そして劇場配布パンフにある作・演出前田さんの言曰く
多分、ご覧になっても「くだらない物を見た」としかお感じにならないと思いますので、(中略)誰かに感想を問われたら「傑作だった」とお答えくだされば間違いないでしょう。……傑作でしたwww
■対比
あまり他のお芝居と比べても無粋かもしれないんですが、前回観た策士策に溺r……技巧派の劇団さんのお芝居と比べてみるとこの公演の強みは大変瞭然としていて、この作品は
手の込んだ設定や音響や演出やセリフ回しを一切排した役者同士のしゃべくりとからみあいだけからうみだされるグルーヴィーなストロングスタイルであったかと思います。ほんとうにある温泉宿での一夜の「実況中継」で、たとえば露天風呂24hだと思ったけど夜中行ったらやってなかったとか、彼女いるのいないの彼氏と別れたのそのおせんべいくれヤだおみやげだから誰にだよそれはちょっととかそういうほんっとうにどーっでもいい話でギャーギャー言ってるのがほとんどでストーリーもクソもないようでいて、会社やめるからどうのとか布団の配置が何とかそういう毛色の違うパーツが実は背骨のようにも見えて。
前回観た劇団さんのお芝居のことを書くときに私は「登場人物たちや作家までがここという重大局面で何も選べなかった」と書きましたが、今回の作品は、夜中に馬鹿騒ぎして大して何も考えてないようでしょーもないことばっかり言い募ってばかりのようでもすでに「選び終えてる」ひとたちの話で、さらに前回(ryは「社会をよけましょう」だったのに対して今回は社会の一面そのものを体現している何でもない人たちの話でした。
たぶんそれでだと思うんですが、「大きい」喜怒哀楽の芝居は禁止になってる感がありました。やかましいようで徹底して抑制されていて、平田さんの名人芸とその脇をしっかり固めるあとの4人のぴんと張りつめた、それでもどーしても観てる側もゲラゲラ笑っちゃうのを止められない、そんな公演でした。
■総評
5/5。
正直なところ客入れから暗転時のBGの「愛の讃歌」はちょっとこれあまりにベタが過ぎると思ったりもしました。
しかし以前観た保村大和さんのときも感じたような「人間ってここまでやれるんだな」という感慨を別の角度から感じて、それにそういうのも含めて押し流されてしまうところもあり。また保村さん同様「俺が役者だ文句あっか」とでも言わんばかりの雄弁さもまたそこにありました。
最後に劇場配布パンフにあける平田さんご自身の言から。
こんなに力の抜けた、こんなたわいもない会話劇がこんなにも難しいとは。今回の『家の内臓』で、初演の時以上に感じたことです。テーマよりもスタイルよりもテクニックよりも、邪心のない謙虚な遊び心がいかに大事かを知りました。(中略)作品を通して今の世代のリアリティを体感し、俳優の在り方を考え直すことができたのが1番の収穫だったかもしれません。
いやほんとに傑作だと思いますよ。


